
今回の登場人物
インベスターeye 当ブログ/Xの発信者でありサラリーマン投資家。投資歴11年目突入。戦績は特筆すべき点なし・・しかし最近足利の影響で隠れていたものが芽を出しつつある。
足利講師 インベスターズスクールの講師。数多くの生徒を国の中枢機関に送り込んでおり稀有な名将と呼ばれている。生徒に寄り添った的確なアドバイスが特徴。自身もカリスマトレーダーである。
投資家R 仕手株が得意なレジェンドトレーダー。eyeのクラスメイトでありインベスターズスクールの同期。
前回(第54・57・64話)までの振り返り↓↓
舞台は未来、20××年の日本。
人口減が進み、海外諸国と対峙すべく『投資立国』としての生き残りに舵を切った日本は優秀な投資家人口を増やし国の中枢で舵取りをさせることで国力を維持していく算段である。
10年前より与党の閣議決定で成人は社会人として働く傍ら『インベスターズスクール』に通うことが義務付けられた。株式投資を中心としたファンダ/テクニカル・需給を体系的に学べる場所で、実際に自己資金を運用していく。優秀な成績を収めたメンバーには特別にファンドや他中枢機関でのインターンシップが許されることとなり、更に優秀であればその機関よりオファーがもらえる仕組みとなっている。
ここまでが前回の振り返り—————————————————————–
「規律なき者、相場を制すべからず──レジェンド講師:足利氏による特別講義」
今回の舞台はインベスターズスクール第2講義室。

この日は1ヶ月に1回だけ開催される「足利講師の特別講義」。
講義開始10分前、教室内にはすでに多くの生徒たちが集まっていた。
インベスターズスクールの講義は全て予約制になっている。レジェンド講師、足利氏の講義は毎回一瞬で空席が無くなる。アイドルのコンサート並の競争率である・・。
eye(心の声)
(いつもこの講義だけは教室の空気が違う。数多の天才を排出してきた伝説の授業…。)
静かに足利講師が入室した。
いつもと変わらぬ落ち着いた堂々とした佇まい。教室の空気が一瞬で引き締まる。
足利講師「皆さん、今日はお忙しい中お集まりいただいてありがとうございます。本日のテーマは規律です。皆さん、投資における才能とは何だと思いますか?瞬時に天井と底を見抜く直感か?1000銘柄を覚える記憶力か?それとも、テクニカル分析の深い理解か…。それらはすべて必要です。しかし、それ以上に重要なのが規律だと私は思っています。」
生徒たちが一斉にメモを取り始める。

足利「規律の有無は結果にどう影響するのか?方程式はこうです。」
足利は黒板にこう書いた。
才能 × 規律 = 生存力
足利「どんなに才能があっても、規律がゼロであれば掛け算の結果もゼロになる。退場した天才を私は何人も見てきました。逆に、凡才でも規律さえ守れば資産は自然と育っていく。投資はマラソンであり、落とし穴を避ける知恵の戦いでもあります。」
ここで投資家Rが挙手。
R「足利先生、自分は仕手株を扱ってる関係で敢えて逆指値を使わないことが多いです。ですがそれでも常時勝ててます。そういう戦略もアリでは?」
足利「確かにあなたのような瞬発型の超短期勝負では規律を一部崩すのもアリかもしれない。だが、それは【地雷原の上で踊る】ようなものだ。自身をプロフェッショナルと過信する者が今まで何人破産してきたことか…。」
Rは複雑な表情を浮かべながら俯いた。

教室が一気に静まり返る・・。
足利講師「皆さん、トレードとは戦場です。誰もが利益を取りに来る世界で命(資金)を守るスキルを持たない者は生き残れない。だからこそ戦場におけるルール=自分の規律を作り、それをどんな時でも守る。これは義務のようなものだと思ってほしい。」
黒板に次のようなルールが書かれた。
足利流・五か条(トレーダーの規律)
1. 逆指値の設定なきトレードは行うな。
2. 信用取引は自信と準備が整っているときのみ行うべし。
3. なんとなくのポジション取りを禁止せよ。
4. 旅行・外出中のポジション持ちは極力避けよ。
5. 一回のミスが命取りになることを忘れるな。
eye(…あのデジタルグリッドの失敗はまさに全部当てはまってるな。特に「4」と「5」は完全にやってしまった・・。)
足利「君たちは国の未来を背負う生粋のインベスターです。投資立国に舵を切ったこの国を支える貴重な人材だ。損失のリスクを回避し、国益を最大化するためには、まず自分のポートフォリオを守ることです。その先には国を舵取りする未来が待っている。規律なき投資に未来はない。」
ここで授業終了のチャイムが鳴った。拍手喝采である。
誰一人席を立たず、最後までメモを取り続けた。

eyeは今日の講義を受講して自分がいかに甘かったかを痛感した。規律を軽んじた先に待つのは退場…。
自分は絶対にそこには行きたくない。
「次回面談までに自分だけの規律リストを作ろう。それが相場での武器になる。」
雨は止み、空には光が差し始めていた。

第69話に続く
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