
週末の夕方。
史郎と刹那は近所のカフェでラテを片手に投資アプリを見ながら会話をしていた。
刹那「ねぇ史郎さん、最近またアメリカ株が上がってる気がするんだけど、何が起きてるの?ニュースでは『金利高止まり』、『インフレ再加速』とか言われてるけど」
史郎「確かにFRB(アメリカの中央銀行)はなかなか利下げに踏み切らないけど、それでも株が上がってるのはいくつか理由があるかな。」

刹那「いくつかの理由?」
史郎「一つは企業のファンダ(決算/業績)が良いこと。特にビッグテックのApple、Microsoft、NVIDIAあたりは想定以上の利益を出してるんだよね。もう一つは金利がピークアウトしてきたって見方がある。まだ利下げはされてないけど、これ以上は上がらないだろうっていう安心感が出てきてそれを織り込んできている。」
刹那「じゃあ将来利下げで恩恵がある企業を織り込みに行っているってことかな。」
史郎「その通り。あとはAIの需要が凄くてNVIDIAとかはその代表格。生成AI関連の投資が続いてて、今やAI関連ってだけで株価が跳ねるくらいになってる。」
刹那「へぇ〜。じゃあS&P500が好調なのは、そのAI銘柄が牽引してるってこと?」
史郎「そうだね。実際S&P500は上位10社が指数全体の3割以上を占めてる。インデックスなのに実質ハイテク集中投資って言われるほど偏ってるんだ。」
刹那「なるへそ、前に話してたオルカン vs S&P500の違いがここにも出てくるんだね。」
史郎「そうそう。で、次は日本株の話だけど最近はついに日経バブル再来か?なんて言われてるよね。」
刹那「うん、それ気になってた。だって日経平均が史上最高値を更新したって言ってたし。でも、私は昔のバブルとは同じじゃないと思ってるよ。」
史郎「お!?刹那、成長してるね(笑)」
刹那「史郎さんの影響で日経IRフェアの記事とか読んでるから!」
史郎「素晴らしい。じゃあ今の日本相場について簡単に整理してみようか。」
史郎はiPhoneにメモを取りながら話し始めた。

史郎「まず日本企業の利益水準。これは今過去最高水準だ。たとえばトヨタなんかは営業利益で5兆円を超えて世界トップクラス。日経平均に採用されてる企業全体の純利益合計も実はバブル期の比じゃない。」
刹那「ってことは、実態のないバブルじゃなくて企業がきちんと稼いでる結果ってことね。」
史郎「そう。PER(株価収益率)で見てもバブル期は平均60倍以上だったのに、今は15〜17倍。利益に対する株価の水準はむしろ割安に近いとさえ言われている。」
刹那「たしかにそう考えると今の株高は納得感あるね。でもなんで急に評価され始めたの?」
史郎「いくつか要因はあるけど、代表的なのは以下の3つかな。」
□日本株が注目される理由□
1. 企業のガバナンス改革(東証大号令による要請) → 詳しくは第51話参照
→ PBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業に対する改善要求で、自己株買いや増配が進む
2. 円安と輸出企業の好調
→ 円安が進行することでトヨタやソニーなどの輸出企業の利益が拡大
3. 海外勢の資金流入
→ 米国の金利がピークアウトし、資金が新興国や日本株に流れてきている

刹那「なるほどー、ちゃんとした理由があるんだね。今の日本株は健全な上昇と見てよさそうね。」
史郎「その通り。ただし注意点もあるよ。たとえば・・」
• 内需関連企業はまだ恩恵が薄いこと
• 日銀の金融政策次第では逆風になる可能性あり。又、関税による業績悪化リスク
• 海外投資家が一斉に引いたときのボラティリティ
刹那「うーん、やっぱり投資ってミーハーじゃダメだね。地道な調査と実践、検証の繰り返し。。これに尽きる。」
史郎「そう。だから一見遠回りに見えるけど自分の頭で考え続けることが大事かな。正に投資は人の行く裏に道あり花の山・・」
カフェを出ると、夕暮れが町全体を覆っていた。

第70話に続く
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