
10月11日(土)、休日の夜。
史郎と刹那の自宅リビングにて・・TVでは~トランプ関税によりNYダウ急落~の速報テロップが流れていた。
そこでインターホンが鳴る。

獅王「こんばんは、天王寺です。お邪魔します。」
天王寺獅王(れお)は史郎の大学同期であり親友。刹那とも同じサークルで面識がある。詳細は第40話を参照して欲しい。
史郎「来た来た。獅王、今夜は熱燗か?」
獅王「せやな。しかしなんや、、トランプが発端で相場が熱燗どころか煮立っとるらしいがな。」
刹那「獅王さん、お久しぶりね!しかしトランプさん、また爆弾落としたわよ。100%関税って…もうバズりすぎ。」
史郎「日経先物が45,200円まで落ちてる。-2,400円…5%超えの暴落、第二次トランプショックだ。」
獅王「中国に倍返し関税やて?まるで半沢直樹の世界やな。トランプにしか出来ん技や。」
刹那「いやいや、全然笑えないんだけど!私達のオルカンとS&P500も真っ赤よ!?ねぇ史郎さん、どうするのこれ?また暴落はチャンスとか言う気でしょ?」
史郎「いや、今回はタイミング的に買ったばかりで胃が痛いな…。でも、こういう時にこそ冷静にならなきゃ。投資は一番怖いところで拾う勇気があるかどうかなんだよ。」

獅王「今回の関税ショック、表面上は米中のケンカやけど、裏の狙いはもっと深い思とるんや。まず関税で中国製品を締め上げるやろ。すると世界の資本がチャイナリスクを恐れてアメリカに逃げる。結果、ドル高→米国債高→金利低下。これな、FRBが利下げせんでも金融緩和が進む構図やで。俺の妄想やけど・・。」
刹那が手作りの特製おつまみを運んでくる。

獅王「刹那ちゃん、気ぃ遣ってくれておおきに。」
史郎「つまりトランプ版量的緩和ってことかな?」
獅王「そうや。しかも追加の輸出規制でAI・半導体・ソフトウェアに制限かけたやろ?つまり未来の産業覇権を完全に自国に囲い込む戦略や。経済戦争ちゃうで、貿易からの文明戦争やな。」
刹那「文明戦争か・・。さっきXでAI関連銘柄が週明けは全滅とか見た。」
史郎「ただ…こういう時って落ちるナイフの中にも光があるんだよな。そこを見極められるかがカギだね。」
刹那「光とか言ってるけど、そんなに余力無いんじゃなかったっけ??」
史郎「そうだな…笑」
獅王「ええか、史郎。こういう時に大事なのは的確な損切りと未来を仕込む行動や。暴落相場は地雷原やけど、同時に宝の埋蔵地でもある。問題はどの地雷に見える宝を狙うかやな。」
刹那「ちょっと、、怖い例えしないでよ(笑)。」

獅王「たとえばな。半導体を始めとした主役テーマは短期では恐らく反動で死ぬほど売られる。けど長期で見たら生成AI×国防×通信はアメリカも中国も止められん。つまりショックは長い目で見れば買い場ということや。これは2020年のコロナショック後のNASDAQの再起と同じ構図や。」
史郎「じゃあ、今は大相場前の前夜(夜明けは一番暗い)ってわけか。」
獅王「そう。やから慌てず、的確に拾ったら忘れて酒飲んで寝るのが正解や。」
刹那「ねぇ獅王さん。私思うのよ。トランプさんってさ、相場クラッシャー兼インフルエンサーじゃない?世界同時株安すら自分のキャンペーン(アイデンティティ)にしている気がするのよ。」

史郎「言葉にしたら凄いインパクトだけど、その通りかもな(笑)。」
獅王「せやけどほんまにその通りやで。政治も経済も、直近の時代ではSNSも相まって感情経済学になっとる。トランプが怒る→市場が反応→人とアルゴが売る→ボラティリティ増大。つまり、相場を動かすのは政策やなくて人間の感情+アルゴなんや。」
史郎「感情経済学か…。確かにトランプの一言で数兆円が動く時代だもんな。」
獅王「まぁ、トランプショック言うてもぶっちゃけ次の展開はトランプリバウンドやろ思とるわ。TACOる(前言撤回)ことも十分に考えられるし、デイール外交が得意なトランプやから上手く着地させるやろ。行き過ぎた恐怖の先には必ず楽観が待っとる。まして今はインフレ渦で歴史的な株高の流れや。今後もこの傾向は続くで。ただ日本の首相指名選挙が10月20日やから、そこまではかなりボラが激しくなる思うわ。」

史郎「さすが獅王、やはりリーマンショックを経験してる投資家は違うね。。」
獅王「偉そうなこと言うとるけど、リーマンショックの時は全く夜も眠れなかったけどな・・笑」
週明けからは大相場に向けた上手い立ち回りが求められる展開である。次回の3人の集いではそのあたりをハイライト(反省)することになりそうだ。
第72話に続く
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