
芦田×蓮 対話編
蓮:芦田さん、今日の日経平均、終値だけ見ると-396円(65,481.27円、-0.60%)で「まあこんなものか」という印象だったんですが、途中で1,100円近く下げてたんですね。この戻し方はちょっと出来すぎじゃないですか?

芦田:鋭いわね。実際、お昼過ぎに64,699円まで売られてから、大引けまでの1時間で800円近く戻している。今日は材料が3つ重なっていた。前日28日の米国株安、日米そろっての長期金利上昇、そして今日が9月中間決算企業の配当権利落ち日だったこと。
蓮:配当落ちの影響は差し引いて見ないといけませんね。高配当の商社・銀行・保険・証券がまとめて売られたのは、権利確定後の利益確定売りが典型的なパターンだからだと思います。実質ベースでは50円安程度だったという見方もありますし、額面の下げ幅をそのまま「弱い相場」と解釈するのは早計な気がします。
芦田:その通り。じゃあ、もう一つの主犯であるSBGについてはどう見る?
蓮:SBGは今日の押し下げ寄与トップで約168円分でしたよね。傘下のアーム・ホールディングスの株価急落が直接の原因ですが、これって「SBGそのものの問題」というより「AI・半導体テーマ全体への警戒がアームという分かりやすい経路を通じて出た」と捉えるべきじゃないでしょうか。前日の米半導体株安を受けてイビデンなども売られていますし、単発の個別材料というより、セクター全体のセンチメントの問題だと思います。
芦田:いい切り分け方ね。ただ、そのセクターの中でも今日は明暗がはっきり分かれている。プラス寄与度トップは東京エレクトロンで約121円の押し上げ。6万5000円を割り込んだあたりから、短期筋の先物買いを中心にスクリーンやディスコといった一部のAI・半導体主力株が逆に下げ渋りを牽引したの。
蓮:同じ「半導体」でも、装置系と設計・IP系で受け止め方が違ったということですね。アームは設計・ライセンスモデルだから、AI投資の先行きそのものへの警戒がダイレクトに効きやすい。一方で東エレクのような製造装置系は、今の設備投資サイクルがまだ生きている限りは相対的に底堅い、という理屈は立てられそうです。
芦田:そう読める。もう一つ、今日はTOPIXが-1.72%と日経平均の-0.60%よりかなり大きく下げていて、東証プライムでは値上がり173銘柄に対して値下がりが1,350銘柄、8割超が下落していた。
蓮:日経平均は値がさ株の影響を受けやすい指数なので、今日みたいに一部の値がさ株(東エレクなど)が指数を支える一方で、市場全体としてはかなり広範に売られている、という状態はよくあるパターンですよね。指数の見た目の下げ幅だけで「今日は軽傷だった」と判断するのは危険で、値上がり・値下がり銘柄数とTOPIXの騰落率もセットで確認しないと、実際の地合いを見誤ると思います。
芦田:その視点を持っておけば十分よ。チャートの面でも一つ。日経平均の日足は75日移動平均線、6万6636円に1ヶ月以上も上値を抑えられている。
蓮:ということは、この75日線を明確に上に抜けられるかどうかが、目先の一番のチェックポイントになりますね。今日みたいに配当落ちや原油高・金利上昇といった材料が重なる局面でこの線を試すこと自体は自然な流れですが、抜けられずに跳ね返されるようなら、しばらくはレンジ相場を前提に動いたほうが良さそうです。
芦田:まとめ方も的確になってきたわね。今日の教訓は、①見た目の下げ幅は配当落ちなどの季節要因を差し引いて評価すること、②同じセクター内でもビジネスモデルの違いで明暗が分かれること、③指数だけでなくTOPIXや値上がり・値下がり銘柄数で相場の幅を確認すること。この3点をセットで振り返る癖をつけておいて。

蓮:はい、次回もこの3点を軸に振り返るようにします。
カブケン運用部・芦田薫、蓮
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