第122話 カブケンMarket Memo file:19 26年10月13日号 『またまた半導体ショック⁉︎裏側を探る』黒田×三浦対談編

カブケン Market MEMO(2026年10月13日)三浦×黒田 対談編

三浦:今日の日経平均は4日続落、前週末9日比1,253円40銭(-1.82%)安の67,777.52円。68,000円を割り込みました。ただしTOPIXは+5.86pt(+0.14%)とプラス、東証プライムの値上がり銘柄は1,137と全体の7割を超えています。下げたのはAI・半導体関連だけ、というのが今日の実像です。

黒田:寄与度で見ても一目瞭然だ。押し下げ上位5銘柄――東京エレクトロン(-450円)、ソフトバンクG(-399円)、アドバンテスト(-261円)、キオクシアHD(-165円)、イビデン(-121円)だけで約1,395円。これで指数の下げのほとんどが説明できる。裏を返せば、この5銘柄を除けば日経平均はむしろ上がっていてもおかしくない水準だった。

三浦:ここで今日の本題に入りたいんですが、半導体の中でもアドバンテストだけ下落率が際立って小さかったんです。終値ベースでアドバンテストは-2.91%。対してキオクシアHDは-13.3%、東京エレクトロンは概算で-7%台、イビデンは-7.8%。しかも見てほしいのが寄り付きからの戻り方です。アドバンテストの始値は39,000円、前日終値41,610円から見ると一時-6.27%まで売られていた。そこから大引けは40,400円まで戻していて、寄り付きから大引けまでで+1,400円、+3.6%の上昇です。これは明確な「反発」と呼んでいいと思います。

黒田:確かに数字の差は大きい。理由は?

三浦:直接のきっかけは、前日12日の米国市場で伝わった中国メモリー大手CXMT(長鑫存儲技術)の新製品開発進展のニュースだと見ています。記憶容量を高めた新製品で重要な進展があったと報じられ、これはキオクシアのようなNAND型メモリーを自社生産するメーカーにとっては直接的な競合リスクです。中国勢の技術的キャッチアップが鮮明になれば、メモリー価格競争の激化という形でキオクシアの収益を直撃する。

黒田:なるほど、アドバンテストはメモリーを作っているわけじゃない。

三浦:そこが肝心です。アドバンテストは半導体の「検査装置(テスタ)」メーカーで、誰が作ったメモリーであっても検査工程自体は必要になる。むしろAI向けのHBM(広帯域メモリー)は積層段数が増えるほど、不良を見抜くための検査時間や検査工程が増える構造になっていて、業界内の生産主体が中国勢に一部シフトしたとしても、検査需要そのものは構造的に増え続けやすい。いわば「誰が勝っても胴元は儲かる」ようなポジションです。実際、9日までの週間騰落率でもキオクシアが-9.30%だったのに対してアドバンテストは+7.71%と、17ポイント以上の差がすでについていました。今日はその流れの延長線上にあると見ています。

黒田:ビジネスモデルの違いが株価の明暗を分けた、というのは筋が通っている。ただ、ここで水を差すようだが、AIを使ったフェアバリュー分析では、今日の下落後もアドバンテストは依然として理論株価を約25%も上回っているという指摘がある。東京エレクトロンの約11%、ディスコの約8%と比べても、割高度は一番高いままだ。相対的に底堅かったことと、割安であることはまったく別の話だ。

三浦:その指摘は大事です。「下げ渋った=押し目買いのチャンス」と短絡するのは危険で、あくまで同業他社と比べた相対的な強さに過ぎません。ビジネスモデルの優位性は本物でも、株価にすでにその期待が相当織り込まれている可能性は否定できない。

黒田:きっかけに戻ると、米国側はダウが195.60ドル高、ナスダックは120.27pt安と分断していた。著名な空売り投資家がハイテクセクターの投資判断を引き下げたことがナスダック安の直接の引き金だ。中東情勢の緊迫で原油が高止まりしていることも、投資家心理を慎重にさせている。

三浦:東京市場はこの「ダウ高・ナスダック安」の分断を、「非AI買い・AI売り」という形でそのまま再現した格好ですね。ファーストリテイリングやトヨタ、商社株が買われたのもその裏返しです。

黒田:今後の占いだが。

三浦:直近の材料は3つ。明日14日の米9月CPIで早期利上げ観測の強弱を確認できます。今週中に予定されているオランダASMLと台湾TSMCの決算は、AI向け半導体投資そのものの需要が鈍っていないかを測る一次情報になります。そして、今日の空売り投資家の判断引き下げが一過性の警告なのか、他の分析機関に波及するのか。

黒田:俺の見立てでは、TOPIXとプライムの騰落数がここまで健全だった以上、今日の下げは「AI・半導体への資金集中の巻き戻し」であって、相場全体が崩れる予兆ではない。ただし、アドバンテストのような「相対的な勝ち組」でも理論株価からは大きく上に乖離している以上、決算というファクトが出揃うまでは深追いしないのが規律だと思う。

三浦:同感です。今日はビジネスモデルの違いが株価にそのまま表れた、分かりやすい一日でした。

カブケン運用部・三浦結衣、黒田

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