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第85話 ストーリーモード15 天空のスカイツリーラウンジから中東ショック→日経6万超えを振り返る

世界一の電波塔で有名な東京スカイツリー。今回獅王、史郎、刹那の三人が向かったのはスカイツリータウン「ソラマチ」最上階の31階、天空LOUNGE TOP of TREEである。

天空LOUNGE TOP of TREE【公式】カトープレジャーグループ

地上150メートルから東京スカイツリーを間近に望めるソラマチで唯一の贅沢なスカイラウンジ。他のどの夜景レストランとも決定的に違うのは窓の外に広がる景色だ。全65席どこに座っても東京スカイツリーが正面に見え、窓際のベンチシートからは床から天井まで続くガラス越しに頂点まで見上げることができる。控えめな照明とBGMが大人のムードを演出する店内に、和の季節感を取り入れたフレンチのコース料理が静かに運ばれてくる。

刹那が窓に顔を近づけて、真上を見上げた。
「…さすが世界一。でも近すぎて首が痛いな 笑」
獅王がワインのグラスを傾けながら言った。
「世界一の電波塔が目の前にある店で飲む酒はまた格別やな!」
史郎が静かに窓の外を見た。ライトアップされたスカイツリーが夜空に白く浮かび上がっている。晴れた日には富士山や東京タワーまで見渡せるというこの場所も、夜になれば東京の街が一面に光の海となって広がる。
「いい店だね。」
「でしょ!今回は私が選んだんだから。」と刹那が胸を張った。
「スカイツリーの真横で相場の話をするとは粋やなー。」と獅王が笑った。

3人で乾杯したところで刹那がため息をついた。
「それにしても、3月の相場はきつかったー。」
史郎が静かに頷いた。
「ああ。あれは堪えたな・・。」
2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃。イランは対抗措置としてホルムズ海峡を事実上封鎖し、原油供給への懸念が急速に高まった。週明けの3月2日から日本株は急落に転じ、3月9日には日経平均が一時4,000円超の下落を記録した。
「あの週は毎朝スマホ開くのが怖かったー。起きるたびに含み損が増えてて。」
「刹那ちゃん、俺のアドバイスは役に立ったか?」と獅王。

「…全部損切りした。」
「へ!?どのタイミングで??」
「3/23の大底あたりで 泣」
獅王が苦笑いをした。
「一番あかんタイミングやないか!!笑」
「わかってる!・・でも何度も暴落暴落で怖かったんだもん!」
史郎が静かに言った。
「気持ちはわかる・・。あのとき日経は2月末の最高値から月初来で15%も下落してた。精神的に買い増しするのは難しい局面だったよね。」

獅王が続けた。「急落局面ではキオクシアや三井金属、古河電工を始めとした半導体・非鉄・電線と上昇が目立っていたテーマの銘柄ほど大きく売られたな。上がってた分だけ徹底的に叩かれた。典型的なパニック売りの構図や。」
「なんであんなに日本株が売られたの? イランと日本って直接関係ないのに。」と刹那。
「原油高の局面では、日本株は劣後する傾向が強い。エネルギーの海外依存度が高いから、原油が上がっても日本には旨味がない。でも輸入コストだけはしっかり上がる。しかもな、原油価格が10%上昇するだけで年率2兆円超の円売り・ドル買い需要が発生する。エネルギーを輸入するためにドルが必要やから円が売られて円安が進む。物価はさらに上がる。日銀はますます身動きが取れなくなる——全部繋がってるんや」
「じゃあ3月に日本株だけ特別に弱かったのもそういう構造があったから?」
「そうや。やはりエネルギーを自給自足出来ない国はこういった有事に弱いっちゅうことや。」

刹那が当時を思い出すように俯いた。
「あの頃は本当に何がなんだかわからなかった。」
獅王がワインを一口飲んで言った。
「でも3月18日には55,000円台に一度回復して、そこからまた揺れて…結局5月7日のトランプの発言で63,000円まで吹き上がった。あの暴落を上手く立ち回れた人間が報われた相場や。」
刹那が悔しそうに言った。
「私は報われてない側の人間ですが・・w」
「次があるやろ!」
「…うん、次は耐える。」
史郎が静かに笑った。

「獅王、今回の63,000円突破はどう見てる??」
獅王は腕を組み、窓の外のスカイツリーを一度だけ見上げてから口を開いた。
「表の材料はわかりやすい。5月7日には停戦に向けた会合材料が発出された。それで日経が一日で3,300円以上跳ねた。でもそれはあくまで引き金に過ぎん。銃の引き金を引いても弾が入ってなかったら何も起きんやろ。今回の上げの本質は引き金やなくて、ずっと前から装填されてた弾の方にある。」
「弾って?」と刹那。

「日本政府のバラまきや。高市政権になってからリフレ派が台頭して財政出動が止まらん。物価高対策、エネルギー補助、賃上げ支援、次々と予算をぶち込んでる。表向きは『国民のため』や。でもその結果市場に何が起きてるか。カネが市場に溢れる→需要が膨らむ→インフレが加速する。」
「それって悪いことなのか?」史郎が静かに問う。
問題はその先や。インフレが加速してるなら、本来は日銀が利上げでブレーキを踏まなあかん。でも踏めてない。なぜか・・政府が財政拡大してる横で日銀が利上げしたら国債が下落して利払い費用が増加する。政府と日銀、事実上の板挟みやで。あとは景気減退リスクをヘッジしてるってとこやな。」

「つまり利上げしたくてもできないってこと?」と刹那。
「できんというより、出来るだけ今のタイミングではしたくないんやろな。結果として円安が続く。物価は上がり続ける。でもな、それを一番ニヤニヤしながら見てる連中がいる。」
「誰?」
「海外の機関投資家や、考えてみぃ。円安やからドルやユーロを持ってる外国人にとって日本株は割引セールに見える。しかも政府がバラまきを続けてるから景気は底堅い。インフレで企業の売上は名目上膨らんでいくからな。日銀は利上げを躊躇してるから金融環境はまだ緩いまま。これって海外投資家からしたら夢みたいな環境やないか。」
史郎が静かに言った。
「つまり日本市場が主戦場になり始めてるってことかな。」
「そういうことや。バフェットが商社株を買ったのが2020年。あれが狼煙やった。あの一手で世界中の機関投資家が『日本、実はありかもしれん。』と再評価し始めた。そこにインフレと円安が重なって今や本格的に資金が流れ込んできてる。日経63,000円の正体は企業が急に成長したわけやない。日本という市場そのものが海外マネーの主戦場になったってことや。」

刹那がゆっくりと呟いた。
「それってすごいことじゃないの!?」
「すごいことやで。でもな、バラまきとインフレと円安で株が上がる・・。一見ええ話に聞こえるが、構造を冷静に見たら実力で上がってる相場やない。カネの価値が下がってる分、株価という数字が膨らんでるだけという側面がある。
「名目の上昇ってやつだな。」と史郎。
「そうや。インフレで物の値段が上がるのと同じで、株価も名目上は上がりやすくなる。でも実質的な購買力で見たとき、本当に豊かになってるかどうかは別の話や。祭りの屋台で食う焼きそばは美味いけど、毎日食ったら体を壊す。そういうことや!」
刹那が吹き出した。
「例えが庶民的すぎる 笑」
「わかりやすいやろ。」

史郎が静かに言った。
「今後のリスクは何だと思う??獅王。」
獅王が真顔に戻った。
「円高への急反転や。今は海外マネーが円安を追い風に日本株を買い続けてる。でも日銀が本気で利上げに踏み切る、あるいは米国景気が急減速してドルが売られる。近い将来は無いとみているが、そういう局面が来たときには円高と株安が同時に来る。海外投資家は為替差損と株安のダブルパンチを嫌って一斉に逃げる。そのスピードは入ってきたときの比やない。上げ幅がえげつない分ボラはかなり激しくなる。」
刹那が静かになった。
「3月みたいな暴落がまた来るってこと?」
「3月は原油と地政学が引き金やった。次は何が引き金になるかわからん。後付けみたいなもんやからな。ただ・・」
獅王が窓の外のスカイツリーを見上げた。
「来た潮(暴落)は必ず引く。それだけは変わらん。基本は上目線や。」

ワインが三杯目に入った頃、刹那が顔を上げた。
「ていうか、今の相場ってバブルなのかな?」
史郎が少し考えてから言った。
「バブルかどうかは、弾けてから初めてわかる。」
「そんな答えある?」
獅王が口角を上げた。
「史郎は正しいで。ただ俺の見方を言うと今は『初動』や。海外マネーが本格参入してきて政策の後押しもある。でも本当の過熱感が来るとしたら、それはAGI、汎用人工知能が実装される局面や。そのとき生産性は桁が変わる。インフレと相まって名目EPSが爆発的に伸びれば日経は・・。」
獅王がそこで急に黙った。
刹那が目を細めた。「日経は??」

獅王「いや、ちょっと壮大になりすぎた。今のは忘れてくれ。」

刹那「わかった。ではまた次回のお題ね!」

天空のスカイツリーラウンジでの3人の投資談義・・心地よい雰囲気の中ゆっくりと夜が更けていく。

第86話に続く

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サラリーマン投資家。Xを運用開始して約8年、2024.11よりブログ開始

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