【新メンバー テクニカルの神:九重の加入‼︎】第130話 カブケン Market MEMO file24 『テクニカルは口ほどにものを言う⁉︎』

*本記事は特定銘柄の推奨ではなく、投資判断は自己責任でお願いいたします。

芦田:急遽ミーティングを開いたのは理由があるの。今日から新しいメンバーが加わります。九重扇矢(くじゅうおうや)くん、30歳。「テクニカルの神」と業界で呼ばれていて、うちが口説き落とすのに三顧の礼を尽くした人よ。

九重:九重です。よろしくお願いします。三顧の礼は少し大げさですが、何度も熱心に誘っていただいたのは事実です。さっそくで恐縮ですが、半導体まわりのチャートを見せてもらえますか。

三浦:どうぞ。まず今日の日経平均は503円51銭(-0.80%)安の62,189.65円で3日続落、約3ヶ月ぶりの安値です。ただしTOPIXは+7.17の3,972.98と上昇していて、プライムの値上がり銘柄は5割を超えています。今日も「指数は弱いが中身は弱くない」という、ここ数週間おなじみのパターンでした。

九重:では本題に入ります。代表としてアドバンテストで見ていきましょう。ミネルヴィニのステージ分析で言うと、10月7日の41,990円を天井に、19日には32,420円まで売られています。下落率はおよそ-22.8%。75日移動平均線を一時割り込みましたが、その後は同線を支持線として回復し、今は32,000〜34,000円のレンジで踏みとどまっている状態です。

黒田:ステージで言うとどこにいる?

九重:重要なのはここです。25日線からは-9%台の下方乖離が続いていて、短期的には明確に弱い。一方で200日移動平均線に対してはまだ+13%ほど上にあり、長期の上昇トレンド自体は崩れていません。つまり、教科書通りのステージ4(下降相場)に転落したというより、ステージ2(上昇相場)の終盤で急速な利益確定売りが出て、ステージ3(天井圏でのもみ合い・分配)に入った、と見るのが妥当です。

蓮:九重さん、ステージ3とステージ4の違いをもう少し教えてもらえますか。

九重:いいところに気づきましたね。ミネルヴィニのステージ理論では、相場は①底値圏での下げ止まり(ステージ1)、②出来高を伴う上昇トレンド(ステージ2)、③上昇が止まって高値圏で方向感なくもみ合う天井圏(ステージ3)、④移動平均線が下向きに転換して本格的な下降トレンドに入る(ステージ4)という4段階を繰り返します。ステージ3は「まだ上昇トレンドの余韻が残っていて、下にも上にも振れる迷いの局面」、ステージ4は「長期線も含めてすべての移動平均線が下向きになり、戻りを売られる本格的な弱気相場」です。見分け方はシンプルで、200日線が上向きを保っているか、下向きに転じたかがその境目になります。今のアドバンテストは200日線がまだ上向きなので、ステージ3にとどまっていると判断しています。

三浦:では他のテクニカル指標ではどうですか。

九重:一目均衡表を見ていきましょう。10月中旬まではマドを空けて25日線を回復し、雲の上で転換線・基準線がともに上向き、遅行スパンも実線を上抜けるという、教科書的な強気シグナルが揃っていました。そこから天井をつけて急落した今は、株価が雲の上辺に接近していてここを維持できるかが最初の分岐点です。雲の上で踏みとどまれば強気構造は維持、雲の中、さらに下に沈むようだとステージ4入りを警戒する必要があります。

芦田:つまり今は「上昇トレンドの中の急激な調整」であって、「トレンド転換」と決めつけるのはまだ早いということね。

黒田:九重くんのチャートの読み方に、俺からファンダメンタルズの裏付けを加えておきたい。アドバンテストの業績見通しを時系列で見ると面白いことが分かる。今期(27年3月期)の純利益見通しは、4月時点では前期比24%増の4,655億円だった。それが7月には76%増の6,600億円まで一気に引き上げられている。わずか3ヶ月で予想を4割近く上方修正したことになる。

蓮:株価が崩れている銘柄の業績予想が、むしろ上がり続けているということですか?

黒田:そういうことだ。背景にあるのはアマゾン、アルファベット、メタといった米国big techの設備投資で、2026年は生成AI向けを中心に50〜60%増が見込まれている。TSMCも2026年に必要な半導体製造装置の量を、半年前の想定から1.9倍に引き上げた。さらに2027年の設備投資見通しについても、ゴールドマン・サックスが700億ドルから780億ドルへ、UBSに至っては900億ドルまで上方修正している。つまり、半導体の「川上」にあたる需要そのものは、ここ数ヶ月でむしろ強まっている。

三浦:それなのに株価は10月に入って20%以上下げている。

黒田:ここが大事なところだ。業績予想が上方修正され続けている局面というのは、言い換えれば市場がそれ以上の期待を織り込んで先回りしていた、ということでもある。期待が業績の上方修正ペースを上回っていたからこそ、少しの材料で利益確定売りが出やすくなる。今回の下げは「需要が剥落した」からではなく、「織り込みすぎた期待の調整」だと俺は見ている。九重くんが言うステージ3の分析と、ファンダメンタルズの読み方は一致している。

九重:心強いです。チャートだけだと「なぜそこで止まるのか」の説明が弱くなりがちなので、業績の裏付けがあると判断の精度が上がります。

黒田:ただし楽観だけはしていない。一部のアナリストからは「2027年の需要の不透明感」も指摘され始めている。供給が追いつかないほどの需要が続くという前提そのものが崩れれば、ステージ3からステージ4へ転落するシナリオも十分あり得る。来月以降も大手ITの設備投資計画の修正動向は注視すべきだ。

九重:その通りです。今の相場は半導体からディフェンシブ・内需・商社へと資金が激しく回転する「過激なセクターローテーション」の最中にあります。半導体が一旦休憩に入るのは自然な動きで、今日も商社株やINPEXが堅調だったのはその裏返しでしょう。

蓮:じゃあ、短期的には触らない方がいいけど、長い目で見れば今の調整はむしろチャンスになり得る、ということですか?

九重:僕の見立てはそうです。200日線という長期トレンドの背骨が保たれている限り、今回の下げは「ステージ2からステージ3への移行に伴う健全な調整」である可能性が高い。75日線・雲の上辺という節目を守れるかを見ながら、ここから新しいベースを作って再びステージ2に入るようなら、その時こそ本当の買い場になります。焦って飛び乗るのではなく、節目を一つずつ確認していくのが僕のスタイルです。

芦田:せっかくだから、反対側の事例も見ておきたいわね。今日大幅上昇していた良品計画はどう?

九重:良品計画は10月15日に上場来高値4,855円をつけていて、直近の23日終値は4,715円。移動平均線との乖離率を見ると、5日線+0.26%、25日線+8.82%、75日線+11.03%、200日線+25.64%と、短期から長期まですべての移動平均線がきれいに右肩上がりで、かつ株価がその上に乗っている状態です。これは教科書そのもののステージ2です。

黒田:数字の並びが綺麗すぎるな。

九重:10月14日発表の決算も良好で、2026年8月期は売上高+9.8%、経常利益+6.0%と増収増益。証券会社も目標株価を引き上げていて、ファンダメンタルズがテクニカルの強さを裏付けている形です。7月13日には決算を手掛かりに一日で+16.84%という出来高を伴う急騰を見せていて、これはステージ1からステージ2へ移行する典型的な「ブレイクアウト」のサインでした。

蓮:アドバンテストが今まさにステージ2からステージ3へ移ろうとしているのに対して、良品計画はステージ2のど真ん中にいる、ということですね。

九重:その通りです。同じ「東証プライムの主力株」でも、今どのステージにいるかによって取るべき戦略はまったく違います。ステージ2の銘柄は押し目を拾う、ステージ3の銘柄は様子見かステージ4への転落に備える。今のセクターローテーションの中では、半導体がステージ3、内需・小売がステージ2というのが大まかな構図で、今日の商社株やINPEXの堅調さもこの流れに沿っています。

黒田:良い加入だ。今後はこの「ステージ」と「雲」を始めとしたテクニカルのチェックを定例にしよう。

芦田:九重くん、これからよろしくお願いします。

カブケン運用部・芦田薫、三浦結衣、黒田、蓮、九重扇矢

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