
三浦です。今後は芦田と三浦がローテーションを組んでお送りしていきます。今日は「二極化」という言葉がぴったりの一日でした。指数は小幅高でも、テクニカルと需給を丁寧に見ないと今日の本質を見誤ります。
日経平均は前日の米国株安(財務省の国債買戻し増額が規模不足と受け止められ長期金利が上昇、原油高でインフレ懸念も再燃)を受けて374円安の64,768円と続落スタート。寄り付きから幅広く売られ下げ幅を広げましたが、金利上昇を素直に手掛かりにした銀行・証券への買いが下値を支え、後場からはじりじりと下げ幅を縮小。節目の65,000円を回復すると、大引けにかけてプラス圏まで浮上しました。台湾TSMCの8月月次売上高の好調も投資家心理を支え、先物買いにつながったようです。終値は65,270.95円(前日比+128.17円、+0.20%)、TOPIXは4,054.58pt(+0.20%)。
テクニカル面で見ておきたいのは、この3日間の値動きの「型」です。8日は戻り高値から全戻しして安値引け、9日は寄り付き後の急落から切り返すも先物は夜間に大きく崩れ、そして今日は寄り付きの大幅安から一日かけてプラス圏まで這い上がる、という展開。3日連続で「下で始まって上に戻す」パターンが続いており、これは売り方の勢いが日を追うごとに続かなくなっている証拠と読めます。終値65,270.95円は8月19日安値(65,326円)まであと約55円まで迫っており、ここを終値で明確に上回れるかどうかが次の分岐点。25日線・75日線が上値抵抗として意識されやすい局面である点は変わっていませんが、下値を切り上げながら抵抗線に近づく形は、悪くない値動きです。需給の体温計である騰落レシオ(25日平均)も、今月初めは117台と過熱でも底値でもない中立圏でしたが、その後の3日間の下げでかなり水準を切り下げたはずで、今日の切り返しはその需給の緩みを埋める動きだった可能性があります。

ここからが今日の本題、半導体セクターの二極化です。寄与度ランキングを見ると、値上がり寄与トップはアドバンテスト(単独で+260円、株価33,920円+1,080円)、キオクシアHD・TDK・京セラ・太陽誘電・レーザーテックといった名前が軒並み上位に並びました。ところが同じ半導体でも東京エレクトロンは値下がり寄与トップ、イビデンも値下がり上位に入っています。「半導体だから買われる/売られる」という単純な括りはもう通用せず、後工程のテスターや材料系と、前工程の製造装置系とで明暗が分かれる展開でした。同じセクター内での銘柄選別が進んでいるサインとして、指数寄与度だけでなく個別チャートも継続して追う必要があります。
もう一つの見どころが銀行株のきれいな反発です。業種別では証券・商品先物取引業と並んで銀行業が上昇。長期金利の上昇という、本来なら株式全体には逆風になりやすい材料を、銀行株は素直に「利ざや改善」の追い風として消化した形です。前日までの調整で売られ過ぎていた反動もあったとみられますが、金利上昇時に金融セクターがきちんと反応するというのは、相場の需給構造が正常に機能している証拠でもあります。

需給全体では値上がり110銘柄・値下がり112銘柄・変わらず3銘柄とほぼ拮抗。売買代金は8兆3,803億円、売買高21億6,817万株でした。指数の値動き(+0.20%)以上に内容は健全で、昨日までの「安値引け」「先物急落」から続いていた神経質さは、今日いったん落ち着いたと言っていいでしょう。
為替は日中153円前後でのもみ合い。取引時間中の株価反発が円の上値を抑える一因になったとみられ、ここ数日続いていた152円台への急な円高進行は、今日に関しては小康状態でした。今週末にかけて米PPI(10日)・CPI(11日)の発表を控えており、インフレ指標の結果次第で長期金利・為替・株価のいずれもが再び振れやすい地合いです。
まとめると、今日は指数の小幅高という見た目以上に、3日連続の「下で始まって上に戻す」テクニカルパターンと、半導体内での明暗、銀行株の素直な金利反応という「選別と需給の正常化」が進んだ一日でした。8月19日安値まであと一歩に迫った点は前向きですが、米インフレ指標という大きな山を控えているため、業種・銘柄ごとの反応の違いを丁寧に追いながらポジションを組み立てたい局面です。
カブケン運用部・三浦結衣
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