【先導株は満員電車状態⁉︎】第127話 カブケン Market MEMO file22(2026年10月20日)芦田×黒田 対談編『信用買い残のクリーンアップ』

芦田:今日の日経平均は841円28銭(-1.30%)安の64,075.42円で続落。前日までの持ち直し基調がいったん途切れた形ね。朝は64,822円まで上げる場面もあったのに、すぐに売りに押されて10時台には64,000円割れ。前引けは404円安まで戻したけど、後場に入ると改めて売りが強まって、15時02分には一時1,109円55銭安の63,807円まで沈んだ。終盤に268円買い戻して64,075円での大引け。TOPIXは4,009.21(-58.27)。東証プライムは全体の76%が値下がりしているわ。

黒田:今日気になったのは、業種別で非鉄金属と並んで銀行が弱かったことだ。33業種中24業種が下落している中で、本来なら半導体・AI関連が崩れる局面ではディフェンシブに資金が逃げるはずの銀行株が、むしろ一緒に売られている。

芦田:ナスダックはプラスで終わっていたのに、それを好感できなかった日でもあるわね。SBGが単独で指数を200円あまり押し下げ東エレクも売られた。半導体株には一時プラス圏に浮上する場面もあったのに、後場に入って売り直されてセンチメントが悪化した、という流れ。

黒田:ここで俺なりの仮説を出したい。今の相場は「銀行がAI・半導体の逆相関ヘッジになっていない」んじゃなくて、「銀行自体がAI・半導体と同じように、信用買いで積み上がった過熱ポジションになっている」んじゃないか。

芦田:信用残のデータを見るとその仮説はかなり説得力があるわね。9月末時点で信用買い残は7兆円を超えて過去最高を更新していて、キオクシアとSBGがその増加額の上位を独占していた。キオクシアの信用倍率は約29.8倍、SBGも約8.9倍と、買い方に大きく偏ったポジションになっている。

黒田:問題は銀行株も同じ構図だということだ。直近の信用残ランキングでは三菱UFJが信用倍率約29.7倍、三井住友FGが約33倍。9月の日銀利上げをきっかけにした「銀行買い」のテーマで、個人投資家が信用取引を使って積極的に買い向かっていた形跡がはっきり出ている。

芦田:つまり、AI・半導体も銀行も、それぞれ別のテーマで信用買いが積み上がった「満員電車」状態だったということね。満員電車は、誰か一人が降りようとするだけで将棋倒しになりやすい。

黒田:その通り。信用倍率がここまで買い方に偏っていると、下落局面で買い戻し(ショートカバー)による下支えがほとんど期待できない。あるのは追証や評価損に耐えきれなくなった個人投資家の投げ売りだけだ。しかもこれは一日で片付く話じゃない。信用取引には期日があるし、含み損を抱えたポジションが完全に整理されるまでは、戻りを試すたびに上から売りが出やすい地合いが続くと見ておいたほうがいい。

芦田:今日、好決算・増配を発表したツガミが逆に9%超下落したのも象徴的よね。本来ならポジティブなニュースのはずなのに、相場全体のリスク回避ムードと信用整理の圧力がそれを上回ってしまった。

黒田:ただ、これは「相場全体が崩れている」という話ではないことも付け加えておきたい。好対照なのがリクルートHDだ。16日に株式分割考慮ベースの上場来高値を更新して8営業日続伸、その後も底堅さを保っている。

芦田:信用倍率を見ると、その理由がよく分かるわ。リクルートの信用倍率は1.1〜1.2倍程度で、買い方と売り方がほぼ拮抗している。SBGの約8.9倍、キオクシアの約29.8倍、三菱UFJの約29.7倍と比べると、まったく違う需給構造よ。

黒田:買い方に極端に偏っていないということは、下げても踏み上げ的な買い戻しが入りやすいし、そもそも投げ売りを強制される過熱ポジションがほとんどない。リクルートはAI投資そのものではなく「AIをうまく活用して稼いでいる銘柄」という評価軸で買われているから、資金の性質も短期の信用取引主体ではなく、実需に近いという違いもあるだろう。

芦田:同じ「AI関連」とひとくくりにされがちだけど、信用需給が健全な銘柄は今日のような地合いでも上がり続けられる、という好例ね。逆に言えば、今の下げが「AI・半導体への失望」というより「信用需給が偏った銘柄の整理」である、という見立てをさらに補強する材料だと思う。

黒田:個別の材料がどうこうという段階を超えて、需給そのものが悪い時期に入っているということだ。来週発表される信用残高のデータで、買い残がどれだけ減っているかを必ず確認したい。そこが本当の「整理が進んだ」サインになる。

芦田:しばらくは我慢の時期になりそうね。今日のような「好材料が無視される」値動きが続く間は、新規の押し目買いは控えて、信用残の減少ペースを淡々と確認していきましょう。

カブケン運用部・芦田薫、黒田

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