
芦田薫(カブケン所長)によるマーケットメモ
7月24日、日経平均は大幅反落。AI相場の持続性への疑念、中東情勢の緊迫化、そして関税の法定期限―複数の悪材料が重なった一日を、ファンドマネジャーの視点で整理します。
国内市場レビュー
日経平均は前日比1,811.45円安の64,611.15円。一時は下げ幅2,200円を超える場面もありました。AI・半導体関連への売りが先行し、キオクシアが9.5%安と「AI特需」の持続懸念を象徴する動きに。値上がり上位は三井松島HD(+14.75%)など大幅増配・材料株が中心で、指数全体は総崩れでも個別物色は続いている形です。CME日経平均先物は米国市場でさらに下げており、週明けも上値の重い展開が予想されます。
🌎 海外市場レビュー
前日(7/23)の米国市場でダウ・ナスダックが大幅安。震源は2つ。
1. アルファベット・テスラ決算への「冴えない反応」:両社とも売上高は予想超えでしたが、アルファベットは年間設備投資計画を最大2,050億ドルへ上方修正した結果初のFCF(フリーキャッシュフロー)赤字に転落。テスラも1株利益が予想を大幅未達で、FCFが2年ぶりの赤字に。「AIには金がかかるが、まだ回収の絵が見えない」という警戒感が、ハイパースケーラー全体への売りに波及しました。

2. 中東情勢の再緊迫化:フーシ派がサウジの石油タンカーを紅海で攻撃したと報じられ、WTI原油が90ドル超に急伸。インフレ再燃とFRB利上げ観測が、株式市場の重荷になっています。
🌡️ なぜ地合いが悪いのか
“AI相場の巻き戻し” と “地政学・金利リスク” の同時発生が、今の悪地合いの正体です。
• AI投資への収益化懐疑:GAFAMの決算シーズン序盤から、CapEx増額=FCF悪化という構図が続けば、AI関連株全体のバリュエーション調整が長引くリスクがあります。
• 金利観測の逆回転:原油高によるインフレ再燃は、利下げペース鈍化・場合によっては利上げ観測の再燃にすらつながりかねません。
• 通商法122条の期限日:本日7/24は、全世界一律関税(現行15%)の法定期限(150日間)にあたります。延長・失効・訴訟の行方いずれに転んでも不透明感が残り、「疑心暗鬼相場」を助長する材料になっています。
これらが重なった結果、テクニカル面でも移動平均線を割り込む形で表れています。
📅 来週(7/27〜31)の注目イベント
• 7/28(火):日銀のコアCPI関連指標、片山財務相講演、米消費者信頼感指数
• 7/29(水):FOMC政策金利発表+ウォーシュFRB議長会見。同日、マイクロソフト・メタ・アーム・クアルコムが決算(国内では日立製作所、日本電気も)
• 7/30(木):日銀金融政策決定会合+植田総裁会見+展望レポート。米GDP速報値・PCEデフレーターも同日発表。アップル・アマゾンが決算(国内はカルビー、オリエンタルランド)
• 7/31(金):東京都区部CPI、米雇用コスト指数
中央銀行イベントとGAFAM決算が同じ週に集中する、今年後半で最も重い一週間になりそうです。
💬 芦田所長の所感
「今日の下げは単発の悪材料ではなく、“AI投資の採算性” “金利” “通商政策”という3つの不確実性が同時に点灯した結果です。来週はFOMCと日銀会合という中央銀行イベントに加え、GAFAM決算が集中します。ポジションを厚くするなら、まずはイベント通過を見届けてから、というのが定石です。」それではまた次回のカブケンMarket Memoでお会いしましょう。
第92話に続く
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